2025.11.26 犬や猫の血尿は要注意!膀胱炎から腫瘍まで原因と治療法を解説
愛犬や愛猫の「尿に血が混じっている」といった変化に気づいたとき、不安を感じる飼い主様は多いのではないでしょうか。
血尿の原因はさまざまで、膀胱炎のように比較的軽いものから、腎臓の障害や腫瘍といった深刻な病気が隠れている場合もあります。そのため、血尿が見られた場合は放置せず、早めに動物病院で原因に応じた治療を行うことが大切です。
今回は犬や猫の血尿について、原因や症状、診断方法、治療方法などをご紹介します。

■目次
1.血尿とは?
2.原因
3.見逃してはいけない危険なサイン
4.診断方法
5.治療方法
6.まとめ
血尿とは?
血尿とは、尿の中に血液が混じっている状態を指します。
泌尿器は腎臓から始まり、尿管・膀胱・尿道を通って体外へ尿を排出します。このいずれかの経路で出血が起こると血尿が見られるようになります。出血の原因や場所、量によって尿の色はさまざまで、出血部位が尿道口から遠いほど、赤というよりも赤黒く見えることがあります。
ただし、尿の色は食事内容や服用している薬の影響によっても一時的に変わることがあるため、見た目だけで血尿かどうかを判断するのは困難です。
また、血尿は軽度であればすぐに命にかかわるものではありませんが、場合によっては重大な病気や外傷が隠れていることもあります。そのため、血尿に気づいた際は、早めに動物病院を受診して原因を調べることが大切です。
原因
血尿の原因となる病気には、主に以下が挙げられます。
<膀胱炎・尿道炎>
犬や猫に見られる血尿のなかで最も一般的な原因のひとつです。細菌感染やトイレ環境の変化、過度なストレスなどによって膀胱粘膜が刺激され、出血することがあります。特に猫では、原因が明確に特定できない「特発性膀胱炎」が多く見られ、再発を繰り返すケースも少なくありません。
<結石症>
尿道や膀胱に結石ができると、それが粘膜を傷つけて出血を引き起こすことがあります。主にシュウ酸カルシウム結石やストルバイト結石が多く見られます。また、結石が尿道につまって尿がまったく出なくなる「尿路閉塞」の状態になると、命に関わることもあります。
<腫瘍>
シニア期の犬や猫では、膀胱や腎臓にできた腫瘍が血尿の原因になっていることもあります。初期の段階では膀胱炎と似たような症状が出るため、見た目や症状だけでは判断が難しく、超音波検査や画像検査による診断が欠かせません。
<腎臓病>
腎臓の機能が徐々に低下してしまう病気で、シニア期の犬や猫に多く見られます。腎臓の働きが弱まると、血液をろ過する力が落ち、老廃物や血液成分が尿中に混じりやすくなります。その結果、血尿が見られることがあります。
▼猫の腎臓病についてより詳しく知りたい方はこちら
<外傷や血液疾患>
転倒や交通事故などによる物理的な外傷、あるいは血液の凝固機能に異常がある場合にも、血尿が見られることがあります。思い当たるような事故があった際には、出血傾向を疑い早急な対応が必要です。
見逃してはいけない危険なサイン
血尿に加えて以下のような症状が見られる場合は、注意が必要です。
・尿がまったく出ない
・排尿時に強い痛みを訴える(鳴く、落ち着かないなど)
・何度もトイレに行くが少量しか出ない
・元気がなく、ぐったりしている
・食欲が低下している
・嘔吐を繰り返している
このような状態は、「尿路閉塞」や「重度の膀胱炎」「感染症」などの緊急性の高い疾患が疑われます。そのため、「血尿が見られるけど、元気だから大丈夫そう」と放置せず、すぐに動物病院を受診してください。
診断方法
血尿の原因を突き止めるためには、以下の検査を組み合わせて総合的に診断を行います。
<尿検査>
尿の中に血液が混ざっているかを確認するだけでなく、細菌や結晶の有無、尿のpHなどを調べます。感染や結石の兆候がないかを調べるうえで重要な検査です。
<血液検査>
腎臓や肝臓の機能、炎症の有無、電解質のバランスなど、全身状態を把握するために行います。特に腎臓病が疑われるケースでは非常に重要です。
<画像検査(レントゲン・超音波)>
結石の有無や大きさ、腫瘍の有無、膀胱や腎臓の状態を可視化します。症状が膀胱炎に似ていても、実際には腫瘍や結石が原因だったということもあり、正確な診断には欠かせません。
治療方法
血尿の治療方法は、原因となる病気によって異なります。それぞれのケースに応じて、以下のようなアプローチが取られます。
<膀胱炎・尿道炎>
抗生物質や消炎薬を使って炎症を抑える治療を行います。また、水分をしっかり摂らせることやトイレの清潔さを保つことなど、生活環境の改善も再発予防に欠かせません。
<結石症>
結石の種類によっては、特別な療法食を用いた食事療法で結石を溶かすことが可能です。ただし、大きな結石や尿路閉塞を起こしている場合には、外科手術での除去が必要になることもあります。
<腫瘍>
外科手術による切除、あるいは内科的な治療(抗がん剤など)を組み合わせて対応します。なお、腫瘍の種類や進行度、全身状態によって治療法は異なります。
<腎臓病>
完治が難しいため、点滴治療や投薬、療法食による管理によって進行を抑えます。
▼犬や猫の外科手術についてより詳しく知りたい方はこちら
まとめ
犬や猫の血尿は、膀胱炎のような軽い病気から、結石や腫瘍、腎臓病などの深刻な疾患まで、さまざまな原因で起こります。症状が似ていても原因は大きく異なるため、「元気だから大丈夫」と自己判断せず、早めに動物病院で検査を受けることが大切です。
当院では、血尿の原因を正確に見極めるための検査体制を整え、それぞれの状態に合わせた最適な治療プランを立案しています。さらに、日常の健康管理や定期検診といった予防医療から、急な体調不良への緊急対応まで幅広く対応し、愛犬や愛猫が健やかに過ごせるようサポートしています。
気になる症状が見られた際は、どうぞお気軽にご相談ください。
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大阪府貝塚市の動物病院「クローバー動物病院」
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