2025.05.30 犬の皮膚の腫瘍、良性・悪性の見分け方|動物病院での初期発見が大切
愛犬の体を撫でているときに、皮膚の下にしこりのようなものを見つけて不安になったことはありませんか?「これは病気なのか」「放っておいて大丈夫なのか」と心配になる飼い主様も多いでしょう。犬の皮膚にできる腫瘍には、良性と悪性のものがあり、どちらも早期発見・早期治療が大切です。
良性腫瘍は基本的に転移せず、急激な悪化をすることは少ないですが、腫瘍の種類によっては大きくなって日常生活に支障をきたすこともあります。一方で、悪性腫瘍は進行が早く、他の臓器に転移するリスクがあるため、特に注意が必要です。
今回は犬の皮膚腫瘍について、良性と悪性の違いや特徴、飼い主様が自宅でできるチェック方法、そして病院を受診すべきタイミングなどを詳しく解説します。
■目次
1.犬の皮膚腫瘍の基礎知識
2.良性腫瘍の特徴と見分け方
3.悪性腫瘍の特徴と見分け方
4.自宅でできるチェックポイント
5.動物病院を受診すべきタイミング
6.動物病院での検査・診断について
7.まとめ
犬の皮膚腫瘍の基礎知識
犬の皮膚腫瘍とは、皮膚や皮下組織に発生する「しこり」や「できもの」のことを指します。この腫瘍には、大きく分けて良性腫瘍と悪性腫瘍の2種類があります。
<良性腫瘍>
成長が比較的ゆっくりで転移の心配がなく、周囲の組織への影響も少ないのが特徴です。代表的なものに「脂肪腫」や「乳頭腫」などがあります。
<悪性腫瘍>
進行が早く、周囲の組織を破壊したり、血流やリンパを通じて他の臓器へ転移したりする可能性があります。代表的なものには「肥満細胞腫」や「軟部組織肉腫」などがあり、これらは早急な治療が必要です。
犬の皮膚腫瘍は年齢を重ねるほど発生しやすくなりますが、若い犬にも発生することがあります。そのため、日頃から愛犬の体を触って確認することが重要です。
良性腫瘍の特徴と見分け方
良性腫瘍には、以下のような特徴があります。
・成長がゆっくりで、大きくなる速度が遅い
・表面が滑らかで、形が丸みを帯びていることが多い
・色は白や薄いピンク色が多い
・触ると柔らかい、またはゴムのような弾力がある
■代表的な良性腫瘍の例
<脂肪腫>
中高齢の犬によく見られる柔らかいしこりで、主に背中や脇、太ももなどに発生します。基本的には良性ですが、大きくなると歩行や姿勢に影響を与えるため、場合によっては外科的に切除することもあります。
<組織球腫>
特に若い犬に見られます。赤みを帯びた丸いしこりとして現れ、数週間から数ヶ月で自然に消失することが多いのが特徴です。
悪性腫瘍の特徴と見分け方
悪性腫瘍の場合、以下のような特徴が見られます。
・短期間で急激に大きくなる
・形がいびつで、境界が不明瞭
・表面がただれたり、出血していたりすることがある
・触ると硬く、しっかりと皮膚や筋肉に固定されている
■代表的な悪性腫瘍の例
<肥満細胞腫>
この腫瘍は、パグやフレンチ・ブルドッグ、ラブラドール・レトリバーなどの犬種で発生率が高いことが知られています。見た目は赤みを帯びた硬いしこりとして現れますが、炎症を起こしやすく、急激に大きくなることがあるため注意が必要です。
<乳腺腫瘍>
犬に多い悪性腫瘍の一つです。特に避妊手術をしていないメス犬に発生しやすく、腫瘍の約50%が悪性であるといわれています。しこりが急に大きくなったり、表面が潰瘍化して出血したりしている場合は、早めの受診が必要です。
自宅でできるチェックポイント
犬の皮膚腫瘍を早期に発見するために、以下の方法で定期的にチェックすることをおすすめします。
・全身を撫でて、新しいしこりができていないか確認する
・すでにあるしこりの大きさや形、色の変化を記録する
・しこりを触ったときの犬の反応を見る(痛がる、嫌がるなど)
また、スマートフォンで定期的に皮膚の腫瘍の写真を撮影し、変化を記録すると比較しやすくなります。
動物病院を受診すべきタイミング
以下のような症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診してください。
・短期間でしこりが急激に大きくなった
・しこりの表面がただれたり、出血したりしている
・硬くて動かないしこりがある
・犬がしこりを気にして舐めたり、痛がったりしている
また、高齢の犬や定期的に健康診断を受けていない犬は、年に1〜2回の健康診断を受けることをおすすめします。定期検診では、目に見えない異常も早期に発見できる可能性があります。
動物病院での検査・診断について
動物病院では、以下のような検査が行われます。
<細胞診(針生検)>
細い針を使って腫瘍の細胞を採取し、顕微鏡で調べる方法です。短時間で実施でき、ほとんどのケースで麻酔は不要です。
<組織生検>
腫瘍の一部または全体を切除し、詳しく分析する方法です。確定診断が可能なため、治療方針の決定に役立ちます。
これらの診断結果に応じて、外科手術や薬物療法などの治療が検討されます。
まとめ
犬の皮膚腫瘍は、良性であっても経過観察が必要な場合があります。また、悪性の場合は進行が早いため、早期発見・早期治療が重要です。
日頃から愛犬の体をチェックし、異常を感じたらすぐに動物病院へ相談することで、大切な家族の健康を守ることができます。
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