2025.05.28 犬の脾臓腫瘍 | 早期発見のポイントと症状、検査、治療法について
犬の寿命が延びるにつれて、腫瘍にかかるリスクも高まっています。
その中でも脾臓腫瘍は、特に高齢の犬に多く見られる病気の一つです。
しかし、脾臓は体の奥深くにある臓器のため、腫瘍ができても外見からは気づきにくく、発見が遅れてしまうことも少なくありません。
脾臓腫瘍の多くは、症状が出る前に定期健診で発見されます。早期に見つかれば治療の選択肢も広がり、犬の健康寿命を延ばすことができます。
今回は犬の脾臓腫瘍について、特徴や症状、診断方法、治療方法などを詳しく解説します。
■目次
1.脾臓腫瘍とは?
2.脾臓腫瘍の主な症状と早期発見のポイント
3.診断・検査方法について
4.治療方法と予後について
5.ご家庭でできる予防と対策
6.まとめ
脾臓腫瘍とは?
脾臓は、犬の体内で重要な役割を果たす臓器です。 血液の貯蔵、古い赤血球の破壊、免疫機能のサポートなどを担っています。しかし、この脾臓に腫瘍ができると、全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。
脾臓腫瘍には、大きく分けて良性腫瘍と悪性腫瘍の2種類があります。
<良性腫瘍>
比較的進行が遅く、健康に大きな影響を与えにくいですが、放置すると破裂のリスクがあります。
<悪性腫瘍(血管肉腫など)>
進行が速く、転移することも多いため、早期発見と迅速な対応が必要です。
また、特定の犬種では脾臓腫瘍の発症リスクが高いことが分かっています。特にゴールデン・レトリーバー、ジャーマン・シェパード・ドッグ、ラブラドール・レトリーバーなどは注意が必要です。
脾臓腫瘍の主な症状と早期発見のポイント
脾臓腫瘍は初期にはほとんど症状がありません。しかし、腫瘍が大きくなると、以下のような異変が見られることがあります。
【目に見える症状】
<腹部の膨張>
お腹がふくらんで見えます。
<体重減少>
食欲が落ちたり、十分な栄養を吸収できなかったりするため体重が減ります。
<食欲不振>
食べる量が減り、食事を残すことが増えます。
<衰弱・無気力>
動くのを嫌がり、寝ている時間が長くなります。
<呼吸困難>
お腹の腫瘍が肺を圧迫し、息苦しそうにする様子が見られます。
【目に見えない症状】
<貧血>
赤血球が減少し、元気がなくなります。
<腫瘍の破裂による内出血>
突然のぐったりした様子や、動けなくなる状態が見られます。
特に注意が必要なのは、腫瘍が破裂するケースです。 破裂すると大量の出血が起こり、緊急の処置が必要になります。そのため、愛犬の様子に異変を感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。また、症状がない段階でも健康診断を定期的に受けることで、早期発見が可能です。
診断・検査方法について
脾臓腫瘍が疑われる場合、動物病院では以下のような検査を行います。
<レントゲン検査>
脾臓の大きさや形の異常を確認します。ただし、小さな腫瘍は発見しにくいこともあります。
<エコー検査(超音波検査)>
腫瘍の有無や大きさ、位置を詳しく調べます。エコー検査は体に負担が少ないため、スクリーニング検査としても有効です。
<血液検査>
貧血の有無や、腫瘍の影響で血液成分に異常がないかを調べます。
これらの検査を組み合わせることで、脾臓腫瘍の有無や進行状況を把握し、適切な治療方針を決めることができます。
治療方法と予後について
脾臓腫瘍の治療は外科手術(脾臓摘出術)が基本となります。
<手術の流れ>
①腫瘍が破裂する前に、脾臓を摘出する
②摘出した脾臓を病理検査に出し、腫瘍の種類を特定する
<術後のケアと注意点>
・感染症予防のため、術後の傷口を清潔に保つ
・術後の定期検診を受け、再発や転移がないか確認する
予後(術後の経過)は、腫瘍の種類や進行度によって異なります。 良性腫瘍の場合は手術後に健康を維持できることが多いですが、悪性腫瘍の場合は再発のリスクがあるため、定期的なチェックが必要です。
ご家庭でできる予防と対策
脾臓腫瘍を完全に予防する方法はありませんが、定期的な健康診断と日々の観察が早期発見につながります。
<日常的にチェックすべきポイント>
✓お腹のふくらみがないか
✓食欲や体重に急激な変化がないか
✓活動量が極端に減っていないか
特に10%以上の体重減少(例:10kgの犬が9kgになるなど)は、病気のサインかもしれません。小さな変化でも見逃さず、早めに動物病院に相談しましょう。
まとめ
脾臓腫瘍は、高齢の犬に多く発症する病気で、外見からは気づきにくいため、定期健診が非常に重要です。定期的な健康診断を受け、日々の体調変化に気を配ることで、早期発見・早期治療が可能になります。
もし愛犬に気になる症状がある場合は、ためらわずに動物病院へ相談してください。早めの行動が、愛犬の命を守る鍵になります。
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