2025.11.05 犬や猫も花粉症や黄砂アレルギーになるって本当?|症状や見分け方、対策を獣医師が解説
花粉が多い時期になると、愛犬の目が赤くなっていたり、猫が鼻をぐずつかせていたりする様子に気づいたことはありませんか?
「花粉症は人間だけが発症するアレルギー」と思っている飼い主様も多いかもしれません。しかし、実は犬や猫も花粉や黄砂といった環境因子に反応してアレルギー症状を引き起こすことがあります。
このような環境アレルギーは、皮膚や呼吸器に影響を及ぼすだけでなく、見過ごすと慢性的な不調に繋がる場合もあります。特に、春や秋の季節の変わり目に多く見られるため、ご家庭での予防が大切です。
今回は犬や猫の花粉症や黄砂の環境アレルギーについて、症状や見分け方、治療法、自宅でできる予防策などを解説します。

■目次
1.犬や猫の花粉症・黄砂などの環境アレルギーってどんなもの?
2.こんな症状が出たら要注意!
3.他の病気との見分け方
4.動物病院での診断方法・治療方法
5.ご自宅でできる予防や対策
6.まとめ
犬や猫の花粉症・黄砂などの環境アレルギーってどんなもの?
犬や猫も人間と同様に、空気中に含まれる花粉や黄砂、PM2.5などの環境物質に反応してアレルギーを発症することがあります。これらの物質が体内に入ると、免疫が過剰に働いてしまい、本来は有害ではないものに対しても強く反応してしまいます。
このような過剰な免疫反応が引き金となって、皮膚や粘膜に炎症を起こすのが環境アレルギーの特徴です。症状の現れ方は犬と猫で少し異なりますが、代表的なものとしては、皮膚のかゆみ、目の充血、くしゃみ、鼻水などが挙げられます。
特に犬では、顔や足先を舐めたり掻いたりする行動がよく見られます。猫では、目の周囲の腫れや鼻水が目立つことが多く、季節の変わり目にこれらの症状が集中して現れる場合は、環境アレルゲンの影響が疑われます。
また、こうした環境アレルギーはアトピー性皮膚炎とも関連があり、慢性的な皮膚の炎症やかゆみの原因になることもあります。
▼犬のアトピー性皮膚炎についてより詳しく知りたい方はこちら
▼犬と猫のアレルギー性皮膚炎についてより詳しく知りたい方はこちら
こんな症状が出たら要注意!
犬や猫に以下のような症状が見られた場合は、環境アレルギーの可能性があります。
・目の充血
・目やにの増加
・まぶたの腫れ
・鼻水
・くしゃみ
・咳
・皮膚の赤みやかゆみ
・脱毛
▼犬や猫の皮膚疾患についてより詳しく知りたい方はこちら
特に春や秋など季節の変わり目にこれらの症状が強く現れる場合、花粉や黄砂といった季節性アレルゲンへの反応が疑われます。
また、通年性アレルギー(ハウスダストやカビなど)とは異なり、環境アレルギーは季節ごとの発症パターンがあるため、発症時期が診断の大きな手がかりとなります。
他の病気との見分け方
犬や猫がアレルギーによる症状を示している場合でも、他の病気と症状が似ていることがあるため、以下のように正確な見極めが必要です。
<目に異常がある場合>
結膜炎や角膜炎といった目の疾患と区別する必要があります。
<アレルギーの場合>
左右の両目に同時に炎症が出ることが多いですが、片方の目だけに症状が出たり、痛みが強かったりする場合は別の病気の可能性があります。
<くしゃみ・鼻水が出ている場合>
ウイルス性や細菌性の上気道感染症と症状がよく似ているため、注意が必要です。
これらの感染症では発熱や元気消失が見られることもあり、動物病院での正確な鑑別が必要です。
さらに、季節ごとに発症するアレルギーと、一年を通して症状が続く通年性アレルギーでは、治療や予防策が異なります。自己判断で放置してしまうと、慢性化したり、皮膚炎が悪化したりする可能性があるため、気になる症状が見られた場合は、早めに動物病院で診察を受けることが大切です。
動物病院での診断方法・治療方法
動物病院では、まず問診によって症状が現れた時期や生活環境の変化、症状の持続期間などを詳しく確認します。これにより、環境アレルゲンとの関連を推測していきます。
さらに、必要に応じてアレルギー検査や血液検査などを行うことで、アレルゲンの特定を目指します。ただし、完全に原因を特定するのが難しい場合もあるため、症状のコントロールを重視した治療が基本となります。
治療では、以下のような方法が用いられます。
・抗ヒスタミン薬やステロイド薬による内科的治療
・症状に応じた皮膚のケアや保湿
・生活環境の見直しによるアレルゲンの回避
症状が慢性的に続く場合には、継続的な管理が必要になることもあるため、治療の経過を見ながら対策を調整していくことが重要です。
ご自宅でできる予防や対策
日常生活の中でも、犬や猫の環境アレルギーに対してできる予防策としては、主に以下が挙げられます。
・散歩は花粉の飛散量が少ない早朝や夕方に行う
・帰宅後はブラッシングや足拭きをして、花粉や黄砂を除去する
・室内はこまめに掃除し、空気清浄機を活用してアレルゲンの除去に努める
一方で、薬用シャンプーの使用や過度な洗浄は、皮膚のバリア機能を低下させてしまうことがあります。そのため、愛犬や愛猫の皮膚の状態に合わせて、適切な頻度や方法で使用することが大切です。
まとめ
犬や猫も、花粉や黄砂などの環境アレルゲンによってアレルギー症状を起こすことがあります。特に花粉が多い時期には、目の腫れや皮膚のかゆみといった症状が増えやすく、これらを見逃さないことが大切です。
なお、季節性のアレルギーは、早期に気づいて対応することで症状の悪化を防ぐことができます。「しばらく様子を見よう」と放置しているうちに重症化してしまうケースもあるため、早めに動物病院を受診することが大切です。
当院では、犬や猫のアレルギーに対する丁寧な診察と継続的なサポートを行っております。気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。飼い主様と一緒に、愛犬や愛猫が快適に過ごせる環境づくりをお手伝いいたします。
★ご参考になりましたら、星で応援していただけると励みになります★
大阪府貝塚市の動物病院「クローバー動物病院」
診療案内はこちらから
072-433-1077



