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2024.09.03 愛犬や愛猫の歯が折れた!?|緊急対応から治療法までを獣医師が徹底解説

何かの拍子に愛犬や愛猫の歯が折れたり欠けたりすると、心配になりますよね。歯が折れてしまった場合、乳歯が抜けるのであれば問題ないですが、折れた場合には乳歯でも早急に対応が必要です。

今回は犬や猫の歯が折れたり欠けたりしたとき、飼い主様がどのように行動すればいいのか、また動物病院ではどのような治療の選択肢があるのかについてご紹介します。

■目次
1.原因
2.緊急時の対応法
3.症状や様子の変化
4.獣医師による検査と診断
5.治療方法
6.歯の健康を守る! 予防法と日常のケア
7.まとめ

原因

犬や猫の歯の表面はエナメル質という硬い素材でできていますが、以下のようなケースでは折れたり欠けたりすることもあります。

<事故やケガ>
壁などの障害物にぶつかる、自転車や自動車と衝突するといった強い力が加わるケース

<硬いものを噛んだ>
骨や金属、石など硬いものによって歯が傷つけられるケース

<歯の病気や加齢>
歯の病気(歯周病など)や加齢によって、歯と骨をつなぐ力が弱まってしまうケース

緊急時の対応法

歯から血が出ている場合は、ガーゼを出血部分に数分間押し当てるとよいでしょう。また、痛みをこれ以上広げないためにも、食事やおもちゃは与えず安静にしましょう。ただし、突然歯が折れたり欠けたりした犬や猫は興奮しており、いつも以上に口を触られるのを嫌がるケースが多いため、こうした緊急時の対応はかなり難しいのが現実です。

さらに、歯が折れたり欠けたりすると歯の中にある神経が露出するとともに、傷口から病原体が侵入して感染症を引き起こす危険性もあります。そのため、こうした対応はあくまでも動物病院に行くまでの応急処置であって、なるべく早く受診することが大切です。

症状や様子の変化

歯が折れたり欠けたりすると、さまざまな様子の変化が現れます。

<食事の変化>
食事の量が減る、片側(折れていない側)だけで食べようとする、丸飲みする

<口や顔周りの変化>
歯茎や顔周りが腫れる

<仕草や行動の変化>
口を触られることを嫌がる、元気がない、落ち着きがない

ご家庭では、愛犬や愛猫の食事量や顔の様子を日ごろから観察して、何か異変があればすぐに動物病院を受診しましょう。

獣医師による検査と診断

動物病院では実際にお口の中を観察し、どこの歯に異常があるのか、神経は露出しているか、歯周病はないか、などを詳しく調べます。

治療方法

治療方法は、どの程度歯が欠けているかによっても違ってきます。

歯が軽度の欠けで神経が露出していない場合、エナメル質の部分を補修材で保護します。神経が露出している場合は、根管治療が必要になります。この治療では歯の神経を抜き取り、洗浄・消毒をしたうえで、歯に詰め物や被せ物をかけます。

また、若い動物では生活歯髄切断術を検討することもあります。この方法は根管治療と異なり、歯髄を温存することができます。

歯の神経が露出してから時間が経っている、あるいは歯周病によって歯肉や歯周の環境が悪くなっている場合には、抜歯する必要があります。

術後は普段どおり生活できますが、硬いものをあげることは避けましょう。

歯の健康を守る! 予防法と日常のケア

歯の健康を守るには、日々のケアがポイントになります。

前述したように、犬や猫の歯は頑丈なエナメル質に覆われていますが、骨などの硬すぎるおやつやプラスチック製のおもちゃは歯が折れる原因になります。食事は噛み切れるものを与え、おもちゃは布製やゴム製のものを選ぶとよいでしょう。

さらに、犬や猫は歯周病になりやすいことでも知られています。歯周病を防ぐためには、ご家庭での歯磨きとともに、動物病院でのスケーリングが重要です。毎日デンタルケアをしていても、奥歯や歯周ポケットに歯垢がたまってしまうことが多いため、定期的に歯科検診を受けて歯の健康を保ちましょう。

まとめ

歯が折れたり欠けたりすると、犬や猫の様子には変化が現れます。少しでも異変を感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。早期発見・早期治療によって愛犬や愛猫の健康を守ることがなによりも大切です。

 

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