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2024.10.18 愛犬の健康を守る!|犬の抜歯が必要な理由と抜歯後のケアガイド

犬の歯の健康は、快適に食事を摂ることや全身の健康を維持するためにも重要です。歯石がたまって歯周病を引き起こしたり、乳歯が残っていたりする場合には抜歯が必要になることもあります。そのため、愛犬の口腔内の健康を維持するためにも、日頃から歯のケアを行うことが大切です。

今回は犬の抜歯について、抜歯が必要な理由や抜歯後のケアなどについてご紹介します。

■目次
1.抜歯が必要なケース
2.抜歯の必要性を判断するサイン
3.抜歯の手順と流れ
4.抜歯後のケア
5.抜歯後の経過と回復期間
6.抜歯の必要がないために心がけたい日々のケア
7.まとめ

抜歯が必要なケース

抜歯を行う必要がある原因としては、以下が挙げられます。

<重度の歯周病>
犬の抜歯理由として最も一般的なのは歯周病です。歯石がたまり、歯周病が進行すると、歯を支える骨や靭帯、歯肉が弱くなることにより歯がぐらついてしまい、最終的に抜歯が必要となることがあります。このような事態を防ぐためには、毎日の歯磨きで歯石の蓄積を予防することが大切です。

<歯の破折や損傷>
健康な歯が折れたり割れたりすると、犬も人間と同様に痛みを伴います。このような場合、まずは神経を抜いて歯を保存する治療を試みますが、保存が難しい場合は抜歯が必要になることがあります。

<乳歯の残存>
健康な永久歯が正しく生えてくるようにしたり、歯磨きがしやすく汚れが溜まりにくい歯並びにしたりするために、乳歯が自然に抜けない場合は抜歯を行います。

<腫瘍や嚢胞>
腫瘍や感染による嚢胞が発生した場合、その影響を受けている部分の歯を抜歯することがあります。

<過剰歯>
通常、犬の歯の本数は決まっていますが、それよりも多く歯が生えてくることがあります。歯並びや歯磨きに支障がなければそのままにすることもありますが、問題が生じる場合には、抜歯を行って歯列を整えることがあります。

抜歯の必要性を判断するサイン

以下のような症状が見られた場合は、早めに口腔処置について獣医師に相談することをお勧めします。

・歯石が付着している
・口臭がある
・歯肉が赤い、出血しやすい
・歯磨きがしにくい場所がある
・食欲がない、食事をする際に食べづらそうにしている
・歯が欠けている

抜歯の手順と流れ

抜歯の手順は以下の通りで実施します。

1.まず診察を行い、抜歯が適切かどうかを判断します。その後、全身麻酔に備えて麻酔前検査を実施します。

2.抜歯当日は、絶食絶飲の状態でご来院いただき、その日の全身状態を確認します。処置が可能であれば、点滴を開始し、麻酔の準備を進めます。

3.全身麻酔を行い、気管挿管を用いて呼吸を管理します。気管挿管は、口腔内の処置中に発生する感染性物質が肺に入り込むのを防ぎ、誤嚥性肺炎の予防にも役立ちます。

4.痛みが強くなることが予想される場合には、局所麻酔を併用して、術後の痛みを軽減するよう配慮します。

5.麻酔下で抜歯を行います。処置時間は範囲や症状の重さによって異なりますが、通常は30分~2時間程度です。

6.抜歯後、当日に帰宅できることもありますが、麻酔後に全身の状態が安定しない場合や出血が止まりにくい場合は、一泊程度の入院が必要になることもあります。

抜歯後のケア

抜歯後は、傷がふさがるまで以下のような配慮が必要です。

<食事の管理>
ふやかしたドライフードやウェットフードなどやわらかい食事を与えましょう。硬いものを噛むと処置後の傷が開いてしまうことがあります。

<痛みや腫れの管理>
鎮痛剤を処方するため、数日間は獣医師の指示に従って投与しましょう。

<抗生物質の投与>
処置後の傷から感染を防ぐために、数日分の抗生物質を処方するため、獣医師の指示通りに投与してください。

<運動制限>
激しい運動は血行が良くなって、傷口から出血してしまうことがあります。そのため、術後検診で許可が出るまでは、通常の穏やかな散歩程度にとどめましょう。

<口腔ケア>
術後から約2週間程度が経過すると、処置後の傷が落ち着いてくるため、その頃から優しく歯磨きを再開しましょう。また、傷口以外の場所は翌日から歯磨きを始めても問題ありません。

抜歯後の経過と回復期間

前述したとおり、一般的には2週間程度で傷口が完全に塞がります。術後の経過観察期間中は、口からの出血がないか、食事をしっかりと摂れているか、咳をしていないか、呼吸が苦しそうでないかなどをしっかり観察しておきましょう。

術後間もない時期に少量の出血(ピンク色の唾液など)が見られる場合は、問題ないことが多いですが、明らかな異常が見られた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

抜歯の必要がないために心がけたい日々のケア

日頃から歯磨きなどの口腔ケアをしっかりと行うことで、抜歯が必要となるリスクは大幅に減少します。食後の歯磨きはもちろん、歯のケアができる食事やおやつを取り入れたり、定期的に歯科検診を受けたりなど、歯の健康を維持するための生活習慣を心がけましょう。

また、歯磨きのやり方は以下の通りです。

1. ペット専用の歯磨きシートと歯ブラシ、歯磨き粉を準備します。
2. まずは、いきなり歯磨きを行うのではなく、口周りに触れることに慣れさせます。
3. 上唇をめくり、歯磨きシートで前歯の外側から少しずつ磨きはじめます。
4. 慣れてきたら歯ブラシで歯を磨きます。

まとめ

抜歯を行う理由として最も多いのは、歯周炎の悪化です。抜歯後は、正しいケアを行うことで口腔内環境を整え、健康な歯と歯茎を維持することを心がけましょう。

 

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