2026.09.08 犬・猫の肥満細胞腫について
肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)は、犬や猫で比較的よくみられる皮膚の腫瘍です。
「肥満」という名前がついていますが、肥満とは関係ありません。肥満細胞という、アレルギー反応や炎症などに関わる細胞が腫瘍化することで発生します。
どのような症状がみられますか?
肥満細胞腫は、見た目だけでは他の皮膚のできものと区別することが難しい腫瘍です。
* 皮膚にしこりがある
* 赤く腫れている
* 大きくなったり小さくなったりする
* しこりの周囲が赤くなる
* かゆみや出血がある
* 急に大きくなった
などの症状がみられることがあります。
特に、大きさが変化するしこりは肥満細胞腫でみられる特徴の一つです。
まずは細胞診検査を行います
皮膚にしこりが見つかった場合、まず「細胞診検査」という検査を行うことがあります。
細い針をしこりに刺して細胞を採取し、顕微鏡で確認する検査です。
肥満細胞腫は細胞診で診断できることが多いため、体への負担が比較的小さい検査で、肥満細胞腫が疑われるかどうかを確認することができます。
ただし、細胞診だけでは腫瘍の悪性度や、完全に取り切れているかどうかまでは判断できない場合があります。
治療について
肥満細胞腫の治療では、手術による切除が基本となります。
肥満細胞腫は、見えているしこりよりも周囲に腫瘍細胞が広がっていることがあります。そのため、単純にしこりだけを取るのではなく、腫瘍の大きさや場所、悪性度などを考慮して、周囲の正常組織を含めて切除することが重要です。
手術で摘出した腫瘍は病理検査に提出し、
* 腫瘍の種類
* 悪性度
* 腫瘍が完全に切除できているか
* 今後の再発や転移のリスク
などを詳しく確認します。
腫瘍の大きさや場所、悪性度によっては、抗がん剤や分子標的薬などの追加治療を検討することもあります。
転移することもあります
肥満細胞腫には、比較的おとなしいものから、非常に悪性度の高いものまでさまざまなタイプがあります。
悪性度の高い肥満細胞腫では、リンパ節や肝臓、脾臓などへ転移することがあります。
そのため、手術前にリンパ節や腹部臓器などを調べ、**腫瘍がどこまで広がっているのかを確認する「ステージング検査」**を行うことがあります。
猫の肥満細胞腫
猫の肥満細胞腫は、犬とは少し特徴が異なります。
皮膚に発生するものでは比較的おとなしいタイプも多く、単発のしこりとして見つかることがあります。一方で、脾臓などの内臓に発生するタイプもあります。
そのため、猫の場合も発生した場所や数、腫瘍の性質などに応じて治療方針を決定します。
「ただの皮膚のできもの」と思わずに
肥満細胞腫は、見た目だけでは良性のしこりと区別できないことがあります。
「以前からあるから大丈夫」「小さいから様子を見よう」と思っていても、実際には悪性腫瘍である可能性があります。
皮膚に新しくしこりを見つけた場合や、以前からあるしこりが大きくなった・赤くなった・形が変わった場合には、早めに動物病院でご相談ください。
早い段階で診断することで、より適切な治療方法を選択できる可能性があります。