2024.08.23 犬と猫の膀胱炎について|早期発見・早期治療が大切
犬や猫の膀胱炎は比較的よく見られる病気で、痛みや不快感を引き起こします。この病気を放置すると、膀胱だけでなく腎臓にも影響を与え、最悪の場合、命に関わる危険な状態になることがあります。そのため、早期発見と早期治療が非常に重要です。
今回は犬と猫の膀胱炎について、原因や症状、治療方法などをご紹介します。
■目次
1.膀胱炎とは?
2.症状
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ
膀胱炎とは?
膀胱炎とは、犬や猫の膀胱に炎症が生じる病気です。この炎症は主に細菌感染により起こりますが、結石や腫瘍、ストレスなどが原因となる場合があります。
膀胱炎は「急性膀胱炎」と「慢性膀胱炎」の2種類があります。
<急性膀胱炎>
急性膀胱炎は、特に若い犬や猫に突然発症することが多いです。この炎症は急速に進行し、適切な治療を受けないと深刻な状態に至るリスクがあります。
特に猫の場合、尿路結石や尿路の異常が膀胱炎と密接に関連しており、これらの問題は尿のpHの不均衡や食事が原因で起こります。
<難治性膀胱炎>
難治性膀胱炎は高齢の犬や猫に多く見られる病気で、一時的に症状が改善しても再発する可能性があります。そのため、長期間にわたる治療が必要となることが多く、ご家庭での管理が難しい場合もあります。
症状
犬と猫が膀胱炎を起こすと、以下の症状が見られます。
・トイレに行く回数が増える(頻尿)
・尿をするときに痛みを伴う(排尿痛)
・尿に血が混じる(血尿)
このような症状は膀胱炎だけでなく、尿路結石やその他の腎臓や膀胱の病気でも見られるため、症状だけで判断することはできません。
膀胱炎が何度も再発する場合は、膀胱の腫瘍や尿路結石が関与している可能性があるため、より詳しい検査が必要になることもあります。
原因
膀胱炎を引き起こす原因は、犬と猫によって異なります。
<犬の場合>
犬の膀胱炎は、一般的に細菌感染が原因で起こります。細菌性の膀胱炎は、腸内細菌や皮膚の常在菌が尿道を逆行して膀胱に感染することで発生します。特に、尿道が短いメスの犬に多い傾向があります。
また、細菌性膀胱炎が悪化すると、細菌が腎臓にまで感染し、腎盂腎炎(じんうじんえん)という深刻な病気を引き起こす可能性があります。この状態に陥ると非常に危険なため、早期発見と早期治療が重要です。
<猫の場合>
猫の場合、細菌感染による膀胱炎や結石(結晶)による膀胱炎に加えて、原因不明の特発性膀胱炎も見られます。猫は膀胱や尿道の病気(下部尿路疾患)にかかりやすく、そのうち半数以上が特発性膀胱炎と診断されています。
特発性膀胱炎を起こす原因は、まだ完全に解明されていないものの、ストレスや肥満などが考えられています。特に、2〜7歳の中齢のオスに多く見られることが知られています。
診断方法
膀胱炎の診断は、基本的に尿検査を実施します。この検査では、尿中の出血の有無を確認し、顕微鏡を使用して尿中の細胞や結晶、細菌の有無を調べます。
異常が見つかった場合は、さらに以下のような精密検査が必要となります。
・血液検査
・超音波検査
・X線検査
・尿培養検査
・グラム染色法(細菌を特定の染料で染色する方法) など
なお、犬や猫の尿はご自宅で採取していただくことが多いですが、尿検査で使用する尿は朝一番の尿が最も適しています。可能であれば採取してから40分以内に検査を行うのが望ましいですが、困難な場合は冷蔵保存をして、できるだけ早く来院するようにしましょう。
治療方法
膀胱炎の治療方法は、以下のような原因によって異なります。
・細菌感染が原因の場合:抗生剤による治療を行います。
・結石が原因の場合:食事療法を中心に、水分摂取を増やすことが推奨されます。
・結石が大きい場合:手術による摘出が検討されることもあります。
また、猫の膀胱炎に多いストレスが原因となっている場合は、生活環境の改善が必要です。ストレスの原因を取り除くことに加えて、消炎剤を用いた対症療法が行われることもあります。
予防法やご家庭での注意点
愛犬や愛猫の膀胱炎や尿路結石を予防するためには、常に新鮮な水を飲める状態を保つことが重要です。十分な水分摂取は尿量を増やし、膀胱や尿道内の細菌を排出するのに効果的で、膀胱炎のリスクを減らすことができます。
また、前述したように、猫の場合はストレスも尿路系の病気の原因となることがあります。そのため、トイレを猫の数よりも1台多く用意し、常に清潔に保つようにしましょう。
まとめ
膀胱炎を起こす原因は多岐にわたり、尿路結石や腎臓の病気、膀胱の腫瘍などの可能性もあります。愛犬や愛猫に異変が見られたら、まずは動物病院を受診し、原因に応じた適切な治療を早めに始めることが大切です。これにより、愛するご家族の健康を守ることができます。膀胱炎についてご不明点や気になることがございましたら、お気軽に当院までご相談ください。
大阪府貝塚市の動物病院「クローバー動物病院」
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