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2025.07.15 犬のクッシング症候群とは? 症状・原因・治療法をわかりやすく解説

最近、愛犬が「急に水をたくさん飲むようになった」「食欲が止まらない」「お腹がぽっこり膨れてきた」と感じたことはありませんか?そういった変化は、もしかすると「クッシング症候群」という病気のサインかもしれません。

この病気は中高齢の犬に多く見られるホルモン異常のひとつで、放っておくと全身に影響を及ぼす可能性があるため、早期発見と適切な治療が大切です。

今回は犬のクッシング症候群について、原因や症状、治療法などをご紹介いたします。

■目次
1.クッシング症候群とは?
2.クッシング症候群の主な症状
3.原因と診断方法
4.治療方法と日常のケアについて
5.まとめ

 

クッシング症候群とは?

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)とは、副腎皮質という臓器から分泌される「コルチゾール」というホルモンが過剰になることで、身体にさまざまな異常を引き起こす病気です。コルチゾールは、ストレスに対応したり、代謝や免疫反応を調整したりする重要な役割を担っていますが、その量が多すぎると、健康に悪影響を及ぼします。

この病気は、犬のホルモン疾患の中でもよく見られ、特に8歳前後の中高齢の犬に多く発症します。進行性の病気であるため、早期の発見と適切な治療がとても大切です。

 

クッシング症候群の主な症状

クッシング症候群では、以下のような症状が現れます。

多飲多尿:飲む水の量や排尿の回数・量が明らかに増加している。
食欲増加:常にお腹をすかせているような行動が見られ、体重増加が見られる。
皮膚や被毛の変化:左右対称の脱毛や皮膚の薄化、色素沈着などが見られる。
お腹の膨らみ(腹部膨満):筋力の低下によって腹部が垂れ下がり、太って見える。
パンティング(浅く速い呼吸):運動していないのに、口を開けてハァハァと息をしている。

これらの症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診することが大切です。

 

原因と診断方法

クッシング症候群の原因は、大きく以下の3つに分けられます。

 

<下垂体性(脳下垂体の腫瘍)>

脳内の下垂体が腫瘍化し、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が過剰に分泌されることで、副腎が刺激されコルチゾールが多く作られてしまいます。犬のクッシング症候群では、約8割がこのタイプです。

 

<副腎性(副腎の腫瘍)>

副腎そのものが腫瘍化し、それが直接コルチゾールを過剰に分泌することで症状が現れます。

 

<医原性(ステロイド薬の長期使用)>

炎症などに使用されるステロイド薬を長期間投与した場合に、体内のコルチゾールが高まり症状が現れることがあります。

 

これらの原因を突き止めるために診断では、まず身体検査や血液検査、尿検査を行い、必要に応じてレントゲンや超音波検査、CT、MRIなどの画像検査を併用します。さらに、確定診断のためには以下のホルモン検査を実施します。

ACTH刺激試験:副腎を刺激するホルモンを投与し、その反応を確認します。
低用量デキサメタゾン抑制試験:コルチゾールの分泌を抑える薬を使い、その抑制具合を確認します。
高用量デキサメタゾン試験:原因が下垂体性か副腎性かを判断するための検査です。

 

治療方法と日常のケアについて

クッシング症候群の治療方法は、以下のような原因に応じて異なります。

 

<下垂体性の場合>

内服薬によってコルチゾールの分泌をコントロールする治療が一般的です。場合によっては放射線治療や外科的手術も選択肢となります。ただし、手術には高度な技術とリスクを伴うため、獣医師と十分に相談して判断しましょう。

 

<副腎性の場合>

外科手術で腫瘍を取り除くことが推奨されます。ただし、高齢の犬や他の病気を抱えている場合は、手術のリスクが高まるため、投薬による治療が選ばれることもあります。

 

<医原性の場合>

原因となるステロイド薬の使用を段階的に減らし、最終的に中止することで症状を改善していきます。急な中止は体に悪影響を及ぼすことがあるため、必ず獣医師の指示に従って治療を行いましょう。

また、治療と並行して以下のような日常のケアも大切です。

 

<体調管理>

内服薬の影響で免疫力が低下することがあるため、細菌感染や膀胱炎などの合併症にも注意が必要です。愛犬の様子に少しでも変化を感じたら、早めに受診してください。

 

<食事管理>

食欲が過剰になってしまう犬には、低脂肪のフードに変更したり、量の調整を行ったりといった工夫が効果的です。

 

まとめ

クッシング症候群は、早期に発見して適切な治療と生活管理を行えば、犬の生活の質を維持しながら、長く穏やかに過ごすことができる病気です。

当院では、ホルモン検査や画像診断を含む丁寧な検査を通じて、クッシング症候群の早期発見・早期治療に取り組んでおります。少しでも愛犬の様子が「いつもと違うな」と感じたら、自己判断せず、まずは動物病院にご相談ください。

飼い主様と愛犬の毎日が安心して過ごせるよう、私たちが全力でサポートいたします。

 

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