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2025.07.10 猫が食べているのに痩せてきた? 腎臓病の初期症状を見逃さないための飼い主様へのアドバイス

最近、愛猫が「ごはんをしっかり食べているのに体重が減ってきた」「以前よりも元気がなくなった気がする」そんなふうに感じたことはありませんか?こうした変化には、加齢や一時的な体調不良だけでなく、病気が隠れていることがあります。

特に猫によく見られる「腎臓病」は、症状に気づいたときにはすでに病気が進行しているケースも少なくありません。早期発見・早期対応がその後の健康を大きく左右するため、飼い主様が日常のちょっとした変化を見逃さないことが大切です。

今回は猫の腎臓病について、症状や診断方法、治療方法、管理の重要性などをご紹介します。

■目次
1.猫の腎臓病とは?
2.こんな症状があったら要注意!腎臓病のサイン
3.診断方法
4.腎臓病と診断されたら?治療と管理について
5.年1回の健康診断が愛猫を守る理由
6.まとめ

 

猫の腎臓病とは?

腎臓は体内の老廃物を尿として排出する重要な臓器であり、体内の電解質バランスを調整する役割を担っています。猫に見られる腎臓病は主に以下の2つがあります。

 

<慢性腎臓病(CKD)>

長い時間をかけて徐々に腎臓の機能が低下します。感染や尿路疾患、高血圧、加齢などが原因で腎臓の細胞が徐々に壊れていきます。

 

<急性腎障害(AKI)>

毒物の誤食や脱水などにより、短期間で急激に腎臓機能が低下します

猫はもともとあまり水を飲まない動物です。そのため、年齢を重ねるにつれて腎臓機能が低下し、腎臓病を発症しやすい傾向があります。実際に、10歳以上のシニア猫では約3頭に1頭が慢性腎臓病を抱えているとも言われています。

 

こんな症状があったら要注意!腎臓病のサイン

腎臓病が進行すると、以下のような変化が現れることがあります。

・多飲多尿
・食欲はあるのに痩せていく
・元気がなくなる
・毛並みや毛艶が悪くなる
・下痢や嘔吐が見られる
・口臭がひどくなる

腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、腎機能の70%以上が失われるまでは目立った症状が出ないことが多いです。そのため、飼い主様が異変に気づいた時にはすでに深刻な状態であることも珍しくありません。

 

診断方法

猫の腎臓病を正確に診断するためには、以下のような検査を組み合わせて行う必要があります。

 

<問診>

日常生活での飲水量や排尿の様子、体重の変化、嘔吐・食欲不振の有無などを確認します。問診情報は検査結果と合わせて病状を総合的に判断する際に欠かせません。

 

<血液検査>

BUN(尿素窒素)やクレアチニンといった腎臓機能を示す数値を測定します。これらの数値が高い場合は腎臓病が疑われます。

 

<尿検査>

尿タンパクの有無や尿の比重(濃さ)、尿中の潜血、色などを確認します。腎臓病は血液検査よりも早く尿検査で異常が現れることもあるため、重要な検査です。

 

<画像診断(レントゲン・超音波検査)>

腎臓の大きさや形の変化、結石や腫瘤(しゅりゅう)の有無などを確認します。慢性腎臓病では、腎臓が小さく萎縮していることが多く、レントゲンや超音波検査で視覚的に確認できます。

 

これらの検査を通じて、腎臓病の有無と進行の程度(ステージ)を把握します。見た目では健康そうに見える猫でも、健康診断で偶然腎臓病が発見されるケースが非常に多いため、気になる症状がない場合でも検査を受けることが大切です。

 

腎臓病と診断されたら?治療と管理について

腎臓病は一度発症すると完治が難しい病気ですが、以下のような適切な治療と管理を行うことにより、進行を抑え、愛猫の生活の質(QOL)を維持することが可能です。

 

<食事療法>

腎臓への負担を軽減するために、タンパク質、リン、ナトリウムの含有量を制限した療法食を選択します。これは、継続的に取り組むことが大切です。

 

<皮下点滴>

腎臓病が進行すると脱水症状を起こしやすくなるため、水分補給を目的として皮下に点滴を行います。ご自宅での点滴を指導する場合もあり、通院回数の軽減に繋がります。

 

<投薬・サプリメント>

血圧を下げる薬や、尿タンパクの漏出を抑える薬などを使用します。また、リン吸着剤やビタミン剤、抗酸化サプリメントなども腎臓の保護に役立ちます。

 

<定期的な検査と通院>

腎機能の変化は徐々に進行するため、定期的に血液検査や尿検査を行って状態を把握し、治療内容を適宜調整します。

 

治療の多くはご自宅でのケアが中心となります。動物病院と飼い主様が連携して情報を共有し、無理のない形で治療を継続することが、猫の健康を守るために不可欠です。

 

年1回の健康診断が愛猫を守る理由

前述したとおり、猫の腎臓病は進行すると治療が難しくなるため、何よりも早期発見が重要です。当院では、猫の年齢や体調に応じて、年に1回、特にシニア猫の場合は年に2回の健康診断を推奨しています。

健康診断のタイミングを忘れないためには、年に一度のワクチン接種と合わせて受診するのがおすすめです。ワクチンと一緒に健康診断を受けることを習慣化することで、病気の早期発見に繋がります。

 

まとめ

腎臓病は多くの猫に見られる病気のひとつです。しかし、早期に発見し、適切な治療や日常のケアを行うことで、進行をゆるやかにし、猫の生活の質を保つことができます。

そのためには、飼い主様が日々の小さな変化に敏感になること、そして定期的な健康診断を通じて体の中の状態を把握しておくことが何よりも大切です。

他院での診断や治療に不安を感じている飼い主様も、どうぞお気軽にご相談ください。当院では、猫の健康を守るパートナーとして、飼い主様と一緒にその子に合った最善の方法をご提案します。

 

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