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2024.12.16 愛犬・愛猫の健康を守る | 知っておきたい糖尿病の基礎知識と最新治療

犬や猫と一緒に生活していると、日々の健康状態が気になりますよね。
愛犬や愛猫が「いつもより水を飲む量が増えた」「食欲はあるけど体重が減ってきた気がする」と感じたことはありませんか?

もしかすると、それは糖尿病のサインかもしれません。人間の生活習慣病として知られる糖尿病は、犬や猫にも発症することがあります。このような症状に気づいたら、できるだけ早く動物病院で相談することが大切です。

今回は犬や猫の糖尿病について、基礎知識や最新治療などをご紹介します。

■目次
1.糖尿病とは
2.犬と猫の糖尿病の主な症状
3.診断方法
4.犬の糖尿病の治療方法
5.猫の糖尿病の治療方法
6.糖尿病の日常管理とケア
7.まとめ

 

糖尿病とは

糖尿病とは、膵臓で分泌されるホルモン「インスリン」が正常に機能しないことによって血糖値が高くなり、さまざまな症状を引き起こす病気です。
この病気は、以下の2つの種類に分類されます。

<Ⅰ型糖尿病>
自分免疫システムが膵臓のβ細胞(インスリンを作り出す細胞)を攻撃してしまうため、インスリンの分泌が大幅に減少してしまいます。
犬の糖尿病の多くは、このⅠ型糖尿病に近く、インスリンの不足が原因となります。そのため、治療には生涯にわたってインスリンの投与が必要となることが一般的です。

<Ⅱ型糖尿病>
インスリンは正常に分泌されているものの、肥満やストレスなどが原因でインスリンがうまく働かなくなります。人間では、糖尿病患者の約95%がこのⅡ型糖尿病にあたります。特に内臓脂肪が蓄積することにより、インスリンの効果が弱まるといわれています。

猫の糖尿病はこのⅡ型糖尿病に近いケースが多く、特に肥満の猫では糖尿病を発症するリスクが高まります。また、猫では膵炎が糖尿病の発症に関与していることもあるため、注意が必要です。

また、糖尿病を引き起こしやすい年齢や好発品種は以下が考えられます。

<犬の糖尿病>
犬では100頭に1頭で発症するといわれており、特に7~9歳の中齢のメスに多く見られます。発症しやすい犬種としては、トイ・プードル、ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャーテリアなどが挙げられます。

<猫の糖尿病>
猫では100〜500頭に1頭が糖尿病を発症するといわれており、特に7歳以上での発症が多く、肥満の猫は発症リスクが4倍も高くなるとされています。また、ノルウェージャンフォレストキャットやロシアンブルー、アビシニアンなどの猫種では発症率が高めです。

 

犬と猫の糖尿病の主な症状

糖尿病の代表的な症状としては、以下の通りです。

<多飲多尿>
高血糖の状態が続くと、体液が濃くなるため喉の渇きを感じやすくなり、水を頻繁に飲むようになります。飲む水の量が異常に増えると、尿の量も増えるため、多飲多尿が見られます。 また、1日に体重1㎏あたり100㏄以上の水を飲む場合は要注意です。(例:体重5㎏で1日500㏄以上)

<体重減少>
食欲は増すものの、体重が徐々に減少することがあります。糖尿病では、体が糖分からうまくエネルギーを得ることができなくなるため、食べても栄養が十分に吸収されにくくなります。その代わりに、脂肪がエネルギー源として使われるようになり、この過程でケトン体という物質が体内に増えていきます。

<目が白くなる>
犬では糖尿病によって、白内障を引き起こすことが知られています。

<後ろ足がふらつく>
猫では、糖尿病によって後ろ足の神経が麻痺することが知られています。それにより、ふらついたり、床にかかとをべったりつけて歩いたりすることがあります。

 

診断方法

糖尿病の診断は、主に以下の検査を行います。

<血液検査>
血液中のグルコース濃度(血糖値)を測定します。ほかにも、糖尿病以外の病気が隠れていないか、全体的な血液検査も行います。

<尿検査>
尿に糖が含まれているか確認します。また、前述したとおり、糖尿病が進行するとケトン体と呼ばれる有毒な物質が尿に含まれるため、その有無も確認します。

糖尿病と似た症状を持つ病気は多く、膵炎やクッシング症候群、腎不全などの他の病気が隠れていることもあります。そのため、複数の検査を行い、総合的に判断することが重要です。また、糖尿病が進行すると、命に関わることがあるため、定期的に健康診断を受けることが大切です。

 

犬の糖尿病の治療方法

犬の糖尿病治療では、毎日朝晩の食後に2回、インスリンを投与する必要があります。インスリン注射の投与方法は、犬の首の後ろ(犬が自分で舐められない場所)の皮膚をつまみ上げ、投与します。

また、インスリンの過剰投与は低血糖を引き起こす危険があるため、投与量は必ず獣医師の指示に従いましょう

 

猫の糖尿病の治療方法

猫の場合、高タンパク質・低炭水化物などの食事療法によって血糖値と体重を管理します。食事療法のみで管理が不十分な場合は、インスリンの投与が必要となります。

 

糖尿病の日常管理とケア

ご家庭では日常的に以下のケアを行いましょう。

<食事管理>
血糖値を安定させるために、毎日決まった量の食事を与えることが大切です。また、肥満を防ぎ、血糖値の急な上昇を避けるために、食事の種類や量については獣医師に相談しましょう

<適切な運動>
肥満は糖尿病を悪化させる原因となるため、適度な運動も重要です。犬の場合、散歩の時間を少しずつ増やし、猫の場合は遊びの時間を意識的に増やすようにしましょう。

 

まとめ

愛犬や愛猫が糖尿病と診断されると、治らない病気だと知って不安を抱く飼い主様も多いです。しかし、糖尿病は早期発見と適切な治療を行うことにより、長期にわたって健康を保ちながら過ごすことができます。そのため、日頃から愛犬や愛猫の様子を観察し、気になる症状があれば、早めに動物病院に相談することが大切です。

 

大阪府貝塚市の動物病院「クローバー動物病院」
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