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2024.12.16 愛犬のかゆみに悩む飼い主様へ | アトピー性皮膚炎の対処法と治療

愛犬が頻繁に体を掻いているのを見て、どう対処すべきか悩んだことはありませんか?特に夜中に痒みがひどくなり、愛犬が眠れない様子を見ていると、とても心配になりますよね。

痒みを引き起こす病気の中でも、犬のアトピー性皮膚炎は、花粉やハウスダストなどの環境アレルゲンと遺伝的な要因が重なり合って発症し、慢性的な痒みをもたらします。時には、眠れないほどの強い痒みを引き起こし、犬にストレスを与えることもあります。そのため、愛犬に痒みが見られたら、早めに治療を行うことが大切です。

今回は犬のアトピー性皮膚炎について、対処法や治療方法などをご紹介します。

■目次
1.犬のアトピー性皮膚炎の主な症状
2.アトピー性皮膚炎の原因と悪化する要因
3.診断方法
4.アトピー性皮膚炎の治療法
5.アトピー性皮膚炎の日常管理とケア
6.まとめ

 

犬のアトピー性皮膚炎の主な症状

<痒み>
背中にはあまり症状が現れず、目、口、耳、腕、足先、脇、おなかなどの特定の部位に痒みが集中することが特徴です。

<赤み>
アトピー性皮膚炎では痒みが先に起こり、犬が掻くことで赤みが生じます。

<脱毛>
痒みが慢性的に続くと、犬が掻いたり舐めたりすることで皮膚に刺激が加わり、脱毛を引き起こすことがあります。

 

アトピー性皮膚炎の原因と悪化する要因

アトピー性皮膚炎を引き起こす原因は多岐にわたりますが、主にハウスダストや花粉などの環境アレルゲンが関与していることが多いです。たとえば、毎年春になると痒みが悪化する場合は、特定の植物が影響している可能性があります。

また、遺伝的な要因により、アトピー性皮膚炎を引き起こすことがあります。親がアトピー性皮膚炎の場合、その子供がアトピーを発症する確率は65といわれています。

国内でアトピー性皮膚炎を発症しやすい犬種としては、フレンチ・ブルドッグ、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、柴犬、シーズー、パグなどが挙げられます。

 

診断方法

犬のアトピー性皮膚炎は他の皮膚疾患と区別するためにも、以下のような詳細な診断が必要です。

<問診>
まず、飼い主様から愛犬の状態や症状に関する詳しい情報をお伺いします。痒みがいつ頃から始まったのか、どのような環境で生活しているのか、どのような食事を与えているのか、といった情報を基に、獣医師が症状を評価します。

<皮膚検査>
アトピー性皮膚炎以外に細菌や寄生虫による皮膚炎、マラセチアという真菌による感染症などがないかを確認します。

<アレルギー検査>
血液検査によって、アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)を特定します。食事やハウスダスト、花粉といった環境要因が痒みの原因であるかどうかを確認することで、治療方針が大きく変わることがあります。

また、アトピー性皮膚炎の診断には、以下のポイントも参考になります。もし、次の項目のうち5つ以上に該当する場合、アトピー性皮膚炎である可能性が高くなります。

・3歳以下から痒みが見られる
・室内で飼育されている
・かゆみ止めの薬で症状が和らぐ
・マラセチアによる皮膚炎を繰り返している
・前肢に症状が見られる
・耳の外側に症状が見られる
・耳の縁に症状がない
・背中から腰に症状がない

 

アトピー性皮膚炎の治療法

【飲み薬による治療】
<ステロイドや抗ヒスタミン薬>
アレルギー反応を抑えるための薬です。特にステロイドは炎症を抑え、痒みを軽減する効果が期待できます。しかし、長期間使用すると副作用が出る可能性があるため、慎重に使う必要があります。

※ステロイドの副作用
免疫力の低下、皮膚が薄くなる、肝臓に負担がかかるなど。

<分子標的薬(アポキル)>
アトピー性皮膚炎は、サイトカインと呼ばれる物質が分泌されることにより、痒みを引き起こします。アポキルは、そのサイトカインによる痒みを伝える経路をブロックし、痒みを抑えるための飲み薬です。副作用が少ないというメリットがありますが、効果を維持するためには継続的に服用する必要があります。

【注射による治療】
従来は飲み薬が主な治療法でしたが、最近では痒みを抑えるための注射治療(サイトポイント)も利用できるようになりました。サイトポイントは、痒みを引き起こすサイトカインの働きをブロックすることで症状を緩和します。副作用が少なく、月に1回の注射で効果を発揮するのが特徴です。

アトピー性皮膚炎の治療は長期にわたることが多いため、飲み薬が苦手な犬にとっても、治療の負担を軽減できる効果的な選択肢です。

 

アトピー性皮膚炎の日常管理とケア

アトピー性皮膚炎と診断された場合、薬による治療だけでなく、以下のような日常生活でのケアも非常に重要です。

<快適な環境を整える>
ご家庭では、部屋の温度や湿度管理、愛犬がリラックスできるスペースを作りましょう。

<アレルゲンとの接触を避ける>
住環境の清掃、散歩ルートを見直すなど、できる限りアレルゲンとの接触を避ける工夫が必要です。

<ストレスケア>
適度な運動や飼い主様とふれあう時間を増やすことで、愛犬のストレスを軽減し、心身の健康をサポートすることが大切です。

<スキンケア>
皮膚がべたつく場合は、保湿成分を含んだ低刺激シャンプーを使用しましょう。また、こまめに保湿を行うことで、肌の健康を維持できます。

<食事管理>
アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを同時に発症しているケースも少なくありません。そのため、症状に応じた適切な食事管理が重要です。食事内容については獣医師に相談し、愛犬に最適な食事プランを立てるようにしましょう。

 

まとめ

アトピー性皮膚炎は、完全に治すことが難しい病気です。しかし、適切な診断や治療、ケアを行うことで、日常生活に支障が出ないようにコントロールすることができます。愛犬に痒がる様子が見られたら、動物病院に相談し、最適な治療法を見つけてあげましょう。

 

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