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2024.12.05 猫のFIP治療法と予後|早期発見で助かる可能性が高まります

愛猫の体調に不調を感じたとき、不安が募るのは当然のこと。
特に子猫や若い猫の場合、病気が進行するスピードが速いため、早めの対応が必要です。

その中でも「猫伝染性腹膜炎(FIP)」は、命に関わる深刻な病気として知られていますが、近年では治療法の進歩により助かる可能性が大きく広がっています。

今回は猫の猫伝染性腹膜炎(FIP)について、症状や治療方法、予防策などについて解説します。

■目次
1.FIPとはどんな病気?
2.FIPの主な症状とは?愛猫の様子の変化に注意
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法と日常のケア
6.まとめ

FIPとはどんな病気?

FIP(猫伝染性腹膜炎)とは、猫コロナウイルスの突然変異によって発症する重篤な感染症です。特に1歳未満の子猫や免疫力の低い猫が発症しやすいとされています。

この病気には、ウェットタイプとドライタイプという2つの形態があり、どちらも命に関わる可能性があります。

<ウェットタイプ>
腹水や胸水が溜まり、腹部が膨らんだり、呼吸が荒くなったりします

<ドライタイプ>
しこりが臓器や目、脳などに発生し、それに応じた症状が現れます。これらの違いを見極めることが早期発見に繋がります。

 

FIPの主な症状とは?愛猫の様子の変化に注意

FIPの症状は多岐にわたり、猫によって異なります。ただし、以下の一般的な兆候が見られる場合には注意が必要です。

<共通の症状>
・元気がない
・食欲不振
・体重減少
・発熱

<ウェットタイプの症状>
・腹部が膨らむ
・呼吸困難になる

<ドライタイプの症状>
・臓器の腫れ(特に肝臓や腎臓の肥大)
・目の異常(ぶどう膜炎、網膜剥離を引き起こす可能性がある)
・神経症状(けいれん、ふらつきなどが起こる)
・皮膚や目が黄色くなる(黄疸)

これらの症状には個体差があります。日頃から愛猫の食欲や体重などの行動を観察することで、異変に気が付きやすくなります。

 

診断方法

FIPの診断は複数の検査結果を組み合わせて、獣医師が総合的に判断します。

血液検査:炎症やタンパク質の値を確認
体液検査:腹水や胸水の性状を確認
画像診断:超音波やX線で内部の状態を確認
PCR検査:腹水や胸水から、ウイルス遺伝子を検出
生検:組織を採取してウイルスの存在を確認

 

治療方法

FIPは以前まで治療が難しい病気とされていましたが、近年では以下の治療法の選択肢が増えています。

<抗ウイルス薬>
GS-441524やモルヌピラビルという抗ウイルス薬が有効とされています。ただし、日本では承認されていない場合が多いため、入手や使用には注意が必要です。

<対症療法>
腹水や胸水の排出、ステロイド剤や免疫抑制剤の使用、栄養補助などで猫の症状を和らげます。

<治療期間中の注意点>
治療中は獣医師の指示に従い、継続して治療を進めることが大切です。治療の経過を確認するために、定期的に検査を受けるようにしましょう。

ご自宅では愛猫が快適に過ごせるように、リラックスした環境を整え、ストレスをできるだけ避けるよう心がけてください。

 

予防法と日常のケア

FIPの発症を完全に防ぐことは困難ですが、以下の対策でリスクを減らすことが可能です。

<清潔を保つ>
猫用のトイレや食器は常に清潔を心がけて定期的に洗浄し、衛生管理を徹底しましょう。

<多頭飼育の場合の配慮>
複数の猫を飼っている場合は、猫同士がストレスなく過ごせるよう、適切な距離を保つなど接触を管理しましょう。

<健康診断を受ける>
年に1回以上の定期検診を受けることで、病気の早期発見が可能になります。健康状態を把握し、適切なケアを行いましょう。

<ストレス管理>
前述したとおり、猫が安心して過ごせる静かで快適な環境を整えることで、免疫力の低下を防ぎ、健康を維持することができます。

 

まとめ

FIP(猫伝染性腹膜炎)は、以前は治療が難しい病気とされていましたが、近年の治療法の進歩により、多くの猫が救われる可能性が高まっています。愛猫の命を守るためには、日々の健康管理と早期発見が非常に重要です。

愛猫とのかけがえのない時間を安心して楽しむためにも、些細な体調の変化に気を配り、少しでも気になることがあれば、早めに動物病院に相談しましょう。

 

大阪府貝塚市の動物病院「クローバー動物病院」
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