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2024.09.03 愛犬のイボ、放置は危険?|獣医師が教えるチェックポイントと対処法

犬の皮膚には、さまざまな種類のイボやしこりができます。その中でも特に注意しなければならないのは腫瘍で、良性の場合もあれば悪性(ガン)の場合もあります。腫瘍が大きくなったり他の臓器に転移したりすると、生活に大きな影響を及ぼすため、早期発見・早期治療が大切です。

今回は犬に現れるイボやしこりについて、ご家庭でできるチェックポイントや対処法などをご紹介します。

■目次
1.愛犬の皮膚にイボ…?今すぐチェックすべきポイント
2.犬のイボやしこりの種類とそれぞれの特徴
3.なぜイボやしこりができるの?
4.診断方法・治療方法
5.イボやしこりを放置するとどうなる?
6.予防法と日々のケア
7.緊急時の対応~元々あった愛犬のイボが急に大きくなったときに飼い主様がすべきこと~
8.まとめ

愛犬の皮膚にイボ…?今すぐチェックすべきポイント

そもそも皮膚のイボ(あるいはしこり)とは、どういったものを指すのかご存じでしょうか。難しい言い方をすると、腫瘤(しゅりゅう)とも表されます。これは、皮膚の表面あるいは皮下にある特定の細胞が増えすぎた結果、さまざまな形や大きさの塊になったものをいいます。
愛犬にイボがある場合、イボをつまんで動かせるかどうか確かめてみましょう。皮膚ごと動かせるようであれば問題にならない場合がありますが。一方で、イボが皮下の組織に入り込んで動かせない場合には、悪性腫瘍の可能性が高いといえます。

犬のイボやしこりの種類とそれぞれの特徴

イボやしこりが現れる原因は、以下のように分類されます。
・肉芽腫:硬くてポッコリとしたイボをつくります。犬では縫合糸によって発生することもあります。
・過形成:いわゆるマメのようなもので、犬では皮脂腺過形成がよくみられます。
・腫瘍:ある特定の細胞が無秩序かつ過剰に増える状態を指します。

<良性腫瘍>
ポッコリとしたしこりができます。一般的にゆっくりと大きくなり、再発や転移はほとんどありません。また、しこりと周りの組織との境目ははっきりしています。

<悪性腫瘍>
デコボコとしたしこりができます。一般的に成長が早く、再発や転移の可能性もあります。しこりと周りの組織との境目ははっきりしておらず、皮下では木の根っこのように広がっていきます。

なぜイボやしこりができるの?

<肉芽腫>
炎症が長く続くことで、マクロファージや線維芽細胞といった細胞が集まって塊をつくります。皮膚の感染や異物の侵入が原因になります。
<過形成>
細胞が増えることで、大きさが増した状態をいいます。負荷がかかったり、刺激が加わったり、ホルモンが作用したりすることで現れます。

<腫瘍>
遺伝や加齢などが影響すると考えられています。

診断方法・治療方法

犬の皮膚にイボやしこりがみられたとき、検査によって何が原因になっているのかを判定する必要があります。その際、動物病院ではイボやしこりの一部を採り、細胞や組織を観察します。
肉芽腫や過形成、良性腫瘍の場合は、イボ・しこりを手術で切除します。悪性腫瘍では取り残しがないように余裕をもって切り取り、再発を防ぐためにも術後に抗がん剤治療をご提案する場合もあります。

イボやしこりを放置するとどうなる?

悪性腫瘍以外では命を脅かすほどの危険な状態になることはまれですが、擦れて血が出たり、手足が動きにくくなったりと、普段の生活に支障が出るケースもあります。
また、イボやしこりは検査をしてみなければ何が原因なのか、わかりません。また、悪性腫瘍で放置しているうちに大きくなったり、他の臓器に転移したりする可能性もあります。そのためイボやしこりを発見したら放置せず、まずは獣医師に相談することをお勧めします。

予防法と日々のケア

イボやしこりを予防することはとても難しいですが、早期に発見することはできます。普段から愛犬とスキンシップをとり、ブラッシングなどのときに皮膚の状態をチェックするとよいでしょう。

緊急時の対応~元々あった愛犬のイボが急に大きくなったときに飼い主様がすべきこと~

元々あった愛犬のイボが急に大きくなったら、早めに動物病院を受診しましょう。成長が早いイボは悪性腫瘍の可能性があります。

まとめ

皮膚のイボやしこりは、飼い主様が気付きやすい変化です。イボやしこりは動物病院で検査しなければ危険性がわからないため、「高齢だから普通のイボかな…」とご自身で判断せず、大きくならないうちに獣医師に診てもらいましょう。

 

大阪府貝塚市の動物病院「クローバー動物病院」
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